- トレントの技術やソフトウェアに違法性はない。
- 違法にアップロードされたものであると知っていながらダウンロードすることは違法。
- 著作物を無断で配布することは違法。トレントは同時にアップロードしていることに注意。
- 違法ダウンロードの疑いで捜査するときは、著作権者が告訴する必要がある。
P2Pの技術を使ったトレントのファイル共有は、その技術やソフトウェアに法的な問題があるわけではありません。
著作物(著作権で保護された作品)をファイル共有すると違法行為にあたります。
違法行為について捜査するときは、著作権者が告訴しなければなりません。しかし、個人がトレントでダウンロードしたことを著作権者が突き止めることは実質的に難しいのが実状です。
たとえば、トレントにVPNを使う方法ならインターネット通信がトンネル化されて見えなくなるため、トレント中の通信やトレントした痕跡が分からなくなってしまうからです。
トレントするときに「何をしたら違法ダウンロードになるのか。」というのは理解しておくべきでしょう。
目次

P2P・トレントの違法性
- P2Pやトレントの技術、ファイル共有ソフトに違法性はない。
- 著作物のファイル共有(ダウンロードやアップロードなど)には違法性がある。
- 著作権を侵害する行為(無料配布や無断販売など)には違法性がある。
P2Pやトレントは、そのものの技術やファイル共有ソフトに違法性はありません。
トレントでファイル共有することの違法性とは、その共有したファイルが著作物であることに法的な問題があるということです。
著作物とは、著作権で保護された作品のことです。
著作物とは
- 書籍(小説、論文、雑誌など)
- 漫画(単行本、週刊誌など)
- アニメ
- イラスト(挿絵、ロゴなど)
- 写真(写真集、画像データなど)
- 音楽
- 映画
- 映像データ(テレビ番組、ドラマなど)
- ゲーム
- コンピューター制作物(ソフト、プログラムなど)
- 教材
とくに漫画、アニメ、音楽、映画などは、多くの人が興味を持って「手に入れたい。」と思う対象になりやすく、トレントでも数多くファイル共有されています。
トレントで、こういった著作物をダウンロードしたり、アップロードする行為には違法性があります。
また、著作権を持つ人が得られるはずの利益を侵害する行為にも違法性があります。
トレントでは、ファイル共有と同時にアップロードする立場にもなります。これは著作物を自由に配布して、著作権を侵害している行為にあたるため、違法性があります。

著作物を配布したら、なんで著作権の侵害なの?

たとえば漫画家は漫画を売って生活しているので、漫画本を自由に配布されら漫画本が売れなくなって生活できなくなっちゃう。
トレントのファイル共有は違法
- トレントで著作物を共有することが違法。
- torrentファイルには違法性はない。
トレントは、ファイル共有のきっかけとなるtorrentファイル(拡張子が .torrent)を使って、目的のファイルを入手します。
このきっかけとなるtorrentファイルには違法性はありません。著作権で保護された作品にはあたらないからです。
トレントにおける違法性は、著作権で保護された作品(漫画、アニメ、音楽、映画など)をファイル共有する行為にあります。
その作品が著作権で保護された作品であることを知っていながらダウンロードすると処罰の対象になります。
ファイル共有ソフトに違法性はない
トレントに使うファイル共有ソフトには違法性はありません。
トレントは、P2Pの技術を使って他の人とファイルをやりとりする手段の一つというだけのものです。
パソコンにファイル共有ソフトをインストールして使っていても、それは法的な問題になりません。
たとえば、自分で作った漫画やイラストなどを配布したいときにトレントを使うのは、その人の自由です。
ファイル共有サイトの運営は違法
海賊版を集めて公開しているサイト、または海賊版を見られるように誘導しているサイト(リーチサイト)の運営は違法です。
海賊版とは
オリジナルと同等の質を保つ、いわゆるコピーのこと。コピー技術の向上によって画質や音質が高くなり、主にネットで無断配布・公開されることが問題になっている。
2021年の著作権法の改正で、海賊版サイトの運営も違法になりました。
たとえば、漫画の海賊版をダウンロードできるサイトはかなり多く存在しています。
こうしたサイトでは、漫画作品を1巻から最終巻までまとめてダウンロードできるtorrentファイルが置かれていたりします。
海賊版をタダで入手できるように誘導しているサイトにあたるので違法ということになります。
トレントのダウンロードは違法
トレントで著作物をダウンロードする行為は違法です。
よく勘違いされているのは、「アップロードは違法だけど、ダウンロードは違法ではない。」というところかもしれません。
2010年に音楽・映像のダウンロードが違法となり、2021年には漫画などの海賊版をダウンロードすることも違法になりました。
知らないでダウンロードした場合はギリセーフ
著作権法では、「違法にアップロードされていることを知っていながら、ダウンロードした場合は処罰する。」とされています。
つまり、トレントでダウンロードした物に違法性があることを知らなかった場合は、かろうじて処罰を免れることもあり得ます。
ただ、著作物のダウンロードを常習的に繰り返している場合や、大量にダウンロードしている場合は、「知らなかった。」という言い訳も通用しなくなるでしょう。
トレントでは同時にアップロードもしている
「トレントやってもアップロードしなければ大丈夫ではないか。」と考えがちです。
でも、トレントでのファイル共有では、ダウンロードと同時にアップロードもしています。
ダウンロードした著作物の一部分を、別のトレント利用者に与える(アップロード)することで共有が成り立っています。
つまり、トレントで著作物をダウンロードする行為は、同時にアップロードする行為になっていることを意識しておくべきでしょう。
トレントに関わる著作権法
著作権法第119条1項:著作権を侵害した者は、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金、または両方によって処罰する。
著作権法第119条3項:有料で販売されたり配信されていることを知っていながらダウンロードした者は、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または両方によって処罰する。
※著作権法をわかりやすい表現に直したもの
トレントのダウンロードに関する処罰については、著作権法119条で規定されています。
実際の著作権法の法文はもっと難しく書かれていますが、わかりやすく直すと上のようになります。
著作権を侵害すると、重い刑罰の対象になります。
違法ダウンロードは親告罪
著作権法123条1項:著作権の侵害の罪は、告訴が無ければ訴えを起こすことができない。
※著作権法をわかりやすい表現に直したもの
違法ダウンロードの犯罪では、被害者である著作権者の告訴が必要になります。
被害者が自分から動いて告訴する犯罪を「親告罪」と言います。
著作権者が「自分の作品が違法にダウンロードされて困っています。」と訴えると、まず容疑がかかり、捜査の対象になっていきます。
逆に言うと、著作権者が告訴しなければトレントのダウンロードは捜査されないということになります。
たとえばVPNを使ってトレントする方法なら、トレントしていることも外からは見えず、ダウンロードした痕跡も残りません。そのため著作権者が、違法ダウンロードされている情報をつかむのは難しくなってしまいます。
VPNでの違法ダウンロード
VPNアプリで南米のサーバーに接続してトレントしている様子。日本からネット接続していることを外部から知ることはできないため、まるで南米に住んでいる人がDLしているように見える。
トレントするときにVPNを使うと、VPNサーバーまでの通信がトンネル化されて見えなくなります。利用者のIPアドレスが分からなくなります。
また、VPNにはログ(IPアドレスや閲覧履歴など)を残さないログなし(ノーログ)を表明しているものもあります。
ノーログとは
VPN側がログを保存しない(No-Log)ということ。このようなVPNはログなしVPNとも言われる。「いつ誰がVPN接続して何をした」というデータが無いため、追跡が不可能になる。
ログなしVPNの場合は、トレントを使っていた痕跡すら残りません。
そのため、トレントで間違って著作物をファイル共有してしまっても、その証拠が無い。ということになります。
vpnでもダウンロードは違法
VPNを使ってダウンロードしたとしても、そのダウンロードの様子が外からは見えなくなります。
しかし、著作物をダウンロードする行為は違法です。
たとえばトレントするときにVPNを使う方法は安全策になりますが、「VPNを使えば著作物をダウンロードしてもよい。」ということではありません。

まとめ
- トレントでファイル共有することの違法性とは、その共有したファイルが著作物であることに法的な問題があるということ。
- よく勘違いされているのは、「アップロードは違法だけど、ダウンロードは違法ではない。」というところ。著作物をダウンロードする行為は違法。
- トレントでダウンロードした物に違法性があることを知らなかった場合は、かろうじて処罰を免れることもあり得る。
- トレントで著作物をダウンロードする行為は、同時にアップロードする行為になっていることを意識しておくべき。
- 違法ダウンロードの犯罪では、被害者である著作権者の告訴が必要になる。
- トレントするときにVPNを使う方法は安全策になるが、「VPNを使えば著作物をダウンロードしてもよい。」ということではない。